山形国際ドキュメンタリー映画祭2009 特別招待作品
こつなぎ 〜山を巡る百年物語〜
6月26日(大阪歴史博物館4階講堂)
1960年(昭和35年)に撮影開始、50年後の2009年(平成21年)に完成。明治大正にまで遡る資料映像も駆使した、日本の山と人を巡る深遠なドキュメントである。大正時代に始まる、岩手県二戸郡一戸町小繁地域の、入会権裁判の記録と、現在の暮らしを柱に展開する本作は、地域で生きていくための権利を求める闘いを通して、東北農民の暮らしをつぶさにとらえ、大正から平成に至る日本の軌跡をあぶりだす。そして往復書簡のように過去と現在を行き来して、これからの農業の姿や社会のあり方を示唆し、人と自然の共存や、生活するということへの根源的問いかけを投げかける。
〜映画チラシより〜
小繁地域では、住民があずかり知らないところで土地の取引が行われ、住民が持っていた山に入り生活の糧を得る権利(入会権)が奪われていきました。
この入会権を巡るこつなぎ事件は、とても今日性のあるテーマだと思います。森林は道路と同じ様に社会のインフラだと思います。特定の地主の経済的利益のためだけ活用したり、転売をしたりするものではないはずです。
この作品は、何かの結論を出すというものではなく、観る人に対して問いを投げ掛けるものでした。とても本質的で大切な問いです。簡単に答えが出るものではありませんが、常にこの問いを頭に置いて、生きていきたいと改めて思いました。