経営理念>利益計画
会社を経営する目的が『経営理念』です。しかし、その目的を達成する手段として売上や利益が必要となってきます。
つまり、売上や利益は『会社を存続させるための手段』です。
日常生活で『目的』と『手段』を混同してはダメ!と聞かれたことがあると思います。経営においてもそれは本質的には全く同じです。 では、本題へ…
最近、私は実務において『利益計画』という用語に触れることが多いです。この『利益計画』という用語、読む経営本ごとに定義が微妙に違います。『利益計画』とはこうだっ!と言い切れるものがあれば理解し易いのですが…
経営に占める『利益計画』の重要性は大きなものです。以下は、私なりにいろいろ目にした資料から、現在の自分自身の解釈を書き出してみました。
利益計画では、
@利益の額から設定して→A固定費予算の設定→B変動比率の設定→C目標売上高の設定と計画していくのが一般的です。
フェイズ@ 目標経常利益額(率)の設定 企業にとって一番予測しにくい部分が年間の売上高です。わからないことから先に決めて計画を作るおかしな計画になりがちです。
ですので、先に
目標経常利益額(率)を設定します。そこから支出がはっきりしている
固定費の予算作成 → 変動比率の決定(=限界利益率目標設定)→ 目標売上高の決定と決めて利益計画を作成します。利益計画を立てたらその後、または前後して具体的な施策を立てていくことになります。この工程が利益計画自体の精度を高めることになります。
フェイズA 固定費予算の設定 普通は、売上高を先に決める方が分かりやすい気がしますね。ですが、売上高自体はお客様が決める要素が大きいものです。もちろん企業はマーケティング活動やよりレベルの高い商品・サービスを開発するなどの企業努力を行い、売上を伸ばそうとします。
しかし、年間の売上を正確に予測することはできません。一方で、経費であれば年間の予算を合理的に設定を行うことができます。特に固定費(人件費や家賃など)はある程度年間で発生する正確な数字を掴むことができます。何故なら、急に家賃が変わったり、社員の人数が極端に増減することは基本的に考えにくいからです。
一方で、固定費が急増している会社は急成長しているし、固定費が急減している会社は大規模なリストラを進めていると見ることができます。
フェイズB 変動比率の設定次に、変動費です。変動費とは売上に比例して増える費用(原価)のことです。
例えば、
変動比率が30%で年間の売上が1,000万円であれば、変動費(1,000万円×30%)は300万円です。
基本的に変動比率は大きく変わる性質のものではありませんが、上の事例で仮に仕入の値下げ交渉に成功したとします。それで変動比率が2%下げることができれば、年間で20万円(1,000万円×2%)の費用を削減できます。
ですので、
変動比率はそれぞれの企業にとって重要な指標になります。異常値が出ることがあれば、ロスが生じていることや、棚卸の計算相違などが発生している可能性があります。
*正確には(固定費+目標経常利益)÷限界利益率で年間の目標売上が算出されます。 フェイズC 目標売上高の決定 フェイズ@〜Bまでを経て
目標売上高を設定します。まずは、@〜Bの工程を通しで行ったことになります。そこから、イレギュラーな事柄や市場環境などの予測を加味し、最終的に
目標売上高を決定します。
ここまではどんな教科書にも載っています。ところが実際に利益計画を立てようとすると
「目標利益額」を決めるのが非常に難しい…
また、『利益計画』の立て方の基準も、大きく5つに分けられますが…今回はこの辺で終えておきます。
経営の本質は当たり前のことを当たり前にやり続けるだけの極めてシンプルなものです。ですが、人間がすることですから、そこには様々な複合的要素が絡み、本来シンプルなものを見えにくくします。だから、そこで働く個々人は明確な目的を持っていないと、何も見えなくなります。目的を持ちましょう、あしたのために…